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GLACIER MOUNTAIN
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Year: 2026
Medium: acrylic on wood(Japanese Pagoda Tree)
Dimensions: 34.5 x 17.5 x 17 cm (13 1/2 x 6 7/8 x 6 3/4 in.)
Acquired from t. gallery, 2026
作品制作を通じてさまざまな事象の境界線についてを考える彫刻家。本作は、氷山の稜線にインスピレーションを受けた木彫作品のシリーズとして展開している「Glacier Mountain」の一点。国松が制作拠点としている飛生アート・コミュニティ(北海道)からは周囲の山並みや地平線が広く見渡せるのだというが、しかし、そうした具体的な風景を模して彫るということはせず、目にした風景から喚起された別の場所や空想の景色などを織り合わせた造形を作品として彫り出していく。稜線や地平線は、それは遠目には境界「線」として認識されているだけで実際には空間的であるため、それを見遣る場所や天候や時間などによってその様子はさまざまに移ろう。氷山ならば、長い時間をかけて成長と崩壊を続けるためその造形はけして一定ではない。そして、その稜線を美しいと思わしめる根拠はそれを目にする個々人の感性に委ねられねばならない。国松の彫刻は、単に事物の形を規定するための境界線ではなく、その場その時に私たちの眼前に現れた境界線が何と何を分つためにあるのかを私たちの感性に問うのである。本作では木材を尖塔状に造形し、絵具で雪山のように白く着彩した上で、そこに大胆にも火を入れたことで大部分が炭化している。作品の中腹に開いた焼けこげた穴は、小さな作品にも関わらず底知れぬ暗さと深さを感じさせる。動物の棲家のようにも、あるいは深い洞窟のようにも見える。国松が自然の風景から自由な造形的発想を得ているように、本作に向き合う人々もまたこの山らしき造形と深い穴から様々な景色を自らの内奥に思い描くことができる。
国松は作品ごとに素材となった木材の樹種を明らかにしており、本作では当館にも深いゆかりのある槐が用いられている。