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隆起椀 / Ryuki-wan
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Year: 2025
Medium: wood, lacquer, soil, sand
Dimensions: 12.5 x 12.5 x 7.2 cm (4 7/8 x 4 7/8 x 2 7/8 in.)
Acquired from Fushimi Port Sangoan, 2025
まるで石器か陶器のように見える荒々しい質感を備えているが、実際には漆塗の技術を応用して作られた木椀。本作はサンゴ礁専門の研究機関である「喜界島サンゴ礁科学研究所」と京都の漆工芸家・堤卓也とが協力する形で制作された。鹿児島県沖の奄美群島にある喜界島は、隆起サンゴ礁の島であり現在も年間約2ミリという世界でも稀に見る早い速度で隆起が進んでいることで知られる。本作では素地となる木椀に、下層部には島の成立以前の300万年〜170万年前に堆積したとされる泥と砂を、中層部には島が隆起を始めた170万年〜140万年前の砂を、上層部には85万年前以後の堆積物を、それぞれ現地にて採取された素材を漆によって塗り付けている。喜界島が海底から隆起してきた、その長大な時間軸が一椀のスケールへと圧縮されているのである。古くは縄文期より人の生活を支える技術・素材として受け継がれてきた漆が、本作では堤の手によって喜界島そのものの時間と物質を繋ぎ止める堅牢なメディウムとして巧みに用いられている。