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私的植物図鑑
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Year: 2024
Medium: charcoal, oil pastel, oil on canvas
Dimensions: 145.5 x 112 cm (57 1/4 x 40 in.)
Acquired from Hino Gallery, 2025
青を基調とした新たな作品シリーズは、2024年にロンドンのWhite Cube Mason's Yardで開催された個展で初めて発表され、ピンクや緑のようなそれまで松本作品を時代区分ごとに特徴づけていた色彩に新たな一色を加えることとなった。青は突如として現れたものではない。「絵画空間を軽やかにも厳かにも変容させる底知れぬ力」であると松本自身が青を評価しているように、アクリル画のピンクにおいても、油彩画の緑においても、主色によるオールオーヴァーな支配がより頭著と思われる作品ほど、それが画面の端々に時折現れる青によって促されている事例は少なくない。本作においては明るい青によって画面全体が覆われ、そこにオイルパステルの線が引かれている。縦のキャンバスの垂直性を肯定するように細長く上下に渡って伸びる白や黒の線は、わずかに揺動と振動を讃えている。かつて自らの全身を投げ込むようにして大画面に立ち向かった松本の絵画制作における身体性はこのゆらぐ線に引き継がれている。視線は青によって深く引き込まれ、線に導かれて揺れながら上下を繰り返す。青い色彩によってか、深きから浅きへ、低きから高きへ、澱みない水の対流を想像させる。「絵画空間」と松本が語るものがあるのだとして、深く青い循環こそがそれである。