Year: 2022
Medium: UV inkjet print(StareReap 2.5 print) on aluminum board, framed
Dimensions: set of 6 pieces, 61.6 x 43.8 cm (24 1/4 x 17 1/4 in.) each
Acquired from RICOH ART GALLERY, 2022
カナダの美術館・Remai Modernが所蔵する406枚のピカソによる版画作品を模作したガンダーの作品集『Piccaso & I』(2017刊行)がある。そこでガンダーは、ピカソ自らが作り上げた伝説的アーティスト像と、誰が見てもピカソの作品だとわかる際立った作風、という「作家」および「作品」の双方の観点からピカソのアイデンティティを探ろうとした。ガンダーは「ピカソのペルソナが彼自身の作品を超えてしまう」のだと評したが、そのように自己を逸脱して肥大したパーソナリティのあり方は、現代のSNS時代においては一般的なものになりつつある。本作は6点の連作だが、それぞれ“Cafe Dream Sequence”、 “Untouched Snow Memory”、“Museum Selfie Tableau”、“Studio Apparition Scene”、“Post Sex Bed Scene”、”The Ruin of the Set”と個別に副題が添えられている。『Piccaso & I』のプロジェクトを通して大量のピカソ作品と向き合った日々のガンダーの様子がスナップされており、私たちはそれをSNSのタイムラインでも眺めるように見るのだ。ガンダーの日常とピカソというアーティスト像が奇妙に重なっていく様子が、漫画のコマ割りのようにいくつかの連続したシーンで構成されているため、セリフこそないがある程度ストーリーが想像される。私たちはこの断片化されたガンダーの日々について、ああでもない、いや、こうかもしれない、とさまざまな可能態を空想し、彼の過去を事実とはまた別の現実のように身勝手に肥大させていくのだ。横顔と正面が一つの図像として表現されるピカソのキュビスム絵画のような現実の重ね合わせに遭遇することを、ガンダーは「パラレルに存在可能な現実・状況」であると述べた。私たち人間は常に複数の可能性の分岐の先端に存在している。