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Black Comp. 1 (Hypershapes)
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Year: 2024
Medium: Cast glass, graphite and wood
Dimensions: 62.2 x 86.4 x 21 cm (24 1/2 x 34 x 8 1/4 in.)
Acquired from Richard Gray Gallery, 2025
「Black Compositional Thought」とはダイソンが一貫して制作の思想的基幹としているものだ。建築や都市環境や社会システムなどの構造が、そこに住まう人々、特に抑圧や差別を被ってきた人々を体系的に規制してきたのだという見地から、ダイソンは「そこに抑圧があるならば、解放の体系も同様になくてはならない」と論じている。
本作では黒鉛(graphite)によって塗装された一対の黒光りする台形型のベースが置かれ、それぞれの上には、半透明の暗色のガラスが半月状に形成されたものが、やや歪な線対称で据えられている。タイトルに付されている「Hypershapes」は、黒人の解放と抵抗の歴史を幾何学的図形によって表象していくドローイング・シリーズとして始められた。この即興的にも見える単純な図形の背景にあるのは、例えば、Henry “Box” Brownが奴隷の身分から逃れるために「四角い」木箱に身を隠して自らを自由州へ輸送した、というような史実である。「三角形」の狭い屋根裏で7年もの潜伏生活を送ったのちに自由を勝ち取ったHarriet Jacobs。船に潜みフィラデルフィアからボストンへの逃亡を成し遂げたAnthony Burnsは曲線(=船体の形状)を示唆する。四角、三角、曲線という図形に内包された解放と抵抗の歴史が本作にも引き継がれている。