Counter Fragile No.4
								
							 
							
								
									
									Year: 2004
								
								1999年の第48回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家として発表した「MEGA DEATH」において、デジタル・カウンターのシリーズはある種の到達点を見せたと言って良いだろう。人の命を無数の無機質なカウントに置き換えることで、そこに無常を表現する。「MEGA DEATH」が人間の集合であったとしたならば、その後に発表された本作を含む「Counter Fragile」は再び個人へと目を向けるような小規模なものになっている。本作はそれまでの同シリーズがソリッドな造形であった事と比べれば有機的と言って良い。雲型のプレートに立体的に巡らされたワイヤーが螺旋を描くように捻れたシルエットを作り出している。散りばめられたデジタル・カウンターは極めて小さく暗闇に明滅する赤い数字はいかにも儚く見える。「Fragile」とは、壊れやすく儚いものの意味だ。しかし、繰り返す数字の明滅は私たちの胸の鼓動のように、止まることなく確かに時を刻んでいる。「MEGA DEATH」ではある瞬間、2400ユニットものカウンター全てが「0」となる、つまり滅亡のような暗闇が訪れる。本作でも「0」という数字は表示されず、その瞬間には赤い光は消える。しかし、複数のカウンター全てが暗闇の中に消えてしまうようなことはない。一つ一つのカウンターが1から9までを表示させていくリズムとは別に、作品全体の捻れた造形に沿って「0」の暗闇が流動していく。これら二重の脈動が表されていることは、私たちが未来へと繋いでいくべき命の螺旋を想像させる。
							 
						 
						
						
					 
				 
				
									
					
								
				
				
			 
			
			 
    
    
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