MIKA TAJIMA
ミカ・タジマ(田島美加)

Negative Entropy (TAE Pulse Power Capacitor, Black, Single)
1975年ロサンゼルス(US)生まれ。1997年にブリンマー大学(ペンシルべニア州)にて東アジア学の学位取得、2003年にコロンビア大学芸術大学院にて修士号取得。活動初期にはアーティスト・グループ「New Humans」を結成しミュージシャンやパフォーマーらと共にインスタレーション作品等を発表。田島は物理学やテクノロジー的アプローチから作品を制作し、文化人類学的な解答へと帰着しようとする。近年の代表作とも言える「Negative Entropy」シリーズは、田島自身がさまざまな場所・環境で録音した音源をスペクトログラムによって解析して得られた図像データを元にしたジャカード織に仕立てている。ジャカード織機は初期コンピュータのパンチカードによるプログラミング機構(バイナリ・コード)の着想となったことでも知られる。現在田島のもう一つの代表作となっている「Art d’Ameublement(家具の美術)」は、E.サティの家具の音楽に着想を得ており、家具のようにふとそこにある美術という存在を目指しながらも、工業用の噴霧器によって噴射された細やかな色の粒子をアクリルケースに閉じ込めている。虹の一端を彫刻したかのような美観に心動かされるが、実際には極めて人工的な技術によって作り出されているこの色彩と感情の関係性について鑑賞者に考えさせる。人と環境、生活とテクノロジー、それらから日々得るインスピレーションを作品へと変換していく際に、田島が辿る思考プロセスは極めて学際的である。知の中間領域に生まれる創造性を追う作家であるとも言える。ホイットニー美術館、ダラス美術館、ゲティ・インスティテュート(ロサンゼルス)、ハーシュホーン美術館(ワシントンD.C.)、サンフランシスコ近代美術館など、拠点とするアメリカ国内の主要機関に多くの作品が収蔵されている他、光州ビエンナーレ(韓国)やホイットニー・ビエンナーレ(NY)などの多くの重要な国際展等でも発表している。