KENTARO MINOURA
箕浦建太郎

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1978年静岡県生まれ。幼少期より絵を描き続けている。多くの子どもたちはさまざまな影響を受けながら絵の描き方を習得していく。文字の習熟と同様に、絵も模倣することで自らが描くものが他者にとってもある程度の共通認識を持って受け入れられるようになる。その過程で国や地域の特有の文化に触れればその様式に沿った描写を規範とした認識が個々人に取り入れられて文化圏が醸成されていく。箕浦は本当に絶え間なく絵を描いている。これまで模倣し、習熟してきた総量が他者よりも多いのかもしれない。個展ともなれば作品が壁を埋め尽くす。箕浦に蓄積したものも外に出ていくものも全てが過剰である。過剰であることが結果的に箕浦を個性を超越して普遍性へと近づけさせているように感じる。近年発表している絵画は、おそらく生き物が描かれているのではあるが、特定の生物を名指しするものではない。殴りつけたような筆触の中から朧げな輪郭らしき色の連なりがようやく見えてきたところでその正体はまるで判然としない。しかし、生命体が間違いなくそこに「ある(描かれている)」ということだけははっきりと分かる。こういった、漠然としていながらも確信的な認識を与えるものをこそ、普遍的と評するのだろう。キャリア初期には音楽活動を盛んに行い自主レーベルPinto(現在休止中)を主宰。銀杏BOYZのアルバム「DOOR」(2005年)にジャケット・イメージを提供。写真家の川島小鳥との協働も多く『明星』、『トリコ』を共著出版。作品集に『未完成大陸』『Decapitron3』『Hello,Good』など。