ABOUDIA
アブディア
アブディア
1983年アビジャン(CI)生まれ。2005年、the Institut des Arts(アビジャン)を卒業。Abdoulaye Diarrassoubaの本名よりも通称のAboudiaで活動することが多い。クーデターや内戦が続くコートジボワールで育ったアブディアは、その作品の中においても常に暴力と不安を描き続けている。砲弾の音が響き、街が破壊され、人の命が日々あっけなく失われていく環境の中、スタジオの地下に潜みながらも絵画に向き合っていた作家の内面をそのままキャンバスに表出している。兵士、銃弾、暴力、それらはすべてすぐそばにある死が描かれている。アフリカの伝統美術や意匠のエッセンスを引き継ぎながら、デュビュッフェやバスキアなどとの比較も言われている通りストリートライクな激しい絵具の使用法によってその暗澹たる世界観を克明に描き出している。テルアビブ美術館、ネバダ博物館、サーチギャラリーなどで紹介されてきた他、世界各地のアートフェアやギャラリーでの展覧会多数。最も注目を集めるアフリカンアーティストの一人に数えられる。
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Title: UN Car Burning I
Year: 2011
Medium: acrylic, paper collage on paper
Dimensions: 178.9 x 236.6 cm (70 3/8 x 93 1/8 in.) -
Title: Untitled
Year: 2013
Medium: oil, oil pastel, collage on paper
Dimensions: 99.5 x 137.5 cm (39 1/8 x 54 1/8 in.)
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UN Car Burning I
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Year: 2011アブディア作品としては、ティピカルな呪術的ポートレートが並ぶ最近の作風とはやや趣が異なっている。本作では、おそらく報道写真と思われる既存の画像をキャンバス上にコラージュし、その上に絵具の描写が重なっている。アブディアはこういった写真のコラージュを多用するが、多くの場合それを覆い尽くすほどの描き込みが重ねられる。しかし、本作ではあまり写真を隠すほどの加筆はなく、特にタイトルにもなっているUN(国際連合)の白い車が炎上している様子はほぼそのまま残されている。制作は2011年となっている。2011年はコートジボワールにおいて激しい内戦のあった年で、国連の平和維持活動部隊(PKO)が軍事介入している。本作は、アブディアがまさに自らの身をもって体験し生き抜いてきたこの紛争を題材として描いたものであろう。この時期の真に迫る作品群によって高い評価を得たアブディアはその後国際的な人気アーティストへと駆け上がっていくことになる。本作はキャリアの起点となった時期に描かれたの非常に重要な作品であると言えるだろう。
Medium: acrylic, paper collage on paper
Dimensions: 178.9 x 236.6 cm (70 3/8 x 93 1/8 in.)
Acquired from Phillips, 2022
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Untitled
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Year: 2013Aboudiaの作品は、テキストとイメージからなる重層性によって、抑圧された怒りを画面上に滲ませる。バスキアと比較されることの多いパワフルな筆致で描かれた人物の表現は、バスキア同様に自らのルーツに流れる非西欧的な文化や政治、歴史への誇りがある。一見すると呪詛のような恐ろしさを他者に与えるアブディアの人物描写であるが、人体の造形を解体し、線と構造に分解する。肉体的な表象を削ぎ落としながら、そこに残滓のように残る精神を描いている。本作に並んでいる多数の白い骸骨のような顔、横たわる透明な抜け殻のような人物、その背景に黒々と塗り込められた絵具の隙間から古い民芸品らしき彫刻とフランス語のテキストが覗いている。コートジボワール出身のアブディアは、凄惨な紛争を生き延びた世代であり、その彼にとって、肉体は脆く生命はなお容易く失われるのだという記憶が身に染みついている。最後に残るのは他者に引き継がれていく精神や思想である。アブディアの絵画はそれを声にならない呪詛あるいは祝福として世に残していく。
Medium: oil, oil pastel, collage on paper
Dimensions: 99.5 x 137.5 cm (39 1/8 x 54 1/8 in.)
Acquired from SBI Art Auction, 2022