LAURENT GRASSO
ローラン・グラッソ

Future Herbarium
1972年ミュルーズ(フランス)生まれ。パリ及びニューヨークに在住。パリ高等美術学校、クーパー・ユニオン(ニューヨーク)、セントラル・セント・マーティンズ(ロンドン)で学ぶ。2008年、フランス在住の最も革新的なアーティストに与えられるマルセル・デュシャン賞を受賞。09年に個展「The Horn Perspective」(ポンピドゥ・センター Espace 315、パリ)、12年に個展「Uraniborg」ジュ・ドゥ・ポーム国立美術館(パリ)、18年シドニー・ビエンナーレほか世界各地で展覧会に招待されている。日本では2015年に銀座メゾンエルメスフォーラムにて個展「Soleil Noir」を開催。グラッソは歴史や科学を文献からリサーチし、綿密なプランを持って作品の中に異なる時空間や人々の認識を共存させる。しばしば古典的な技法の絵画で表現するが、映像、彫刻などのメディアも用いて複合的なインスタレーションも行う。たとえば「Studies into the Past」シリーズで、15世紀イタリア、16世紀フランドル絵画の様式と技法を用い、神話や宗教画の主題を描きながら、そこに当時は解明されていなかった天体現象(日食、オーロラ、隕石など)を差し込むことで、観る人に違和感を抱かせる。私たちの認識ではあり得ない「絵」なのだが、歴史、現実、時間という既成概念を取り払えば、それはフィクションではないのだ。グラッソの作品はいわば謎かけのように、世界を見る別の時間軸や物差し、視点を提示する。